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陸を越え、海を越え

LZ127@Recife1

Hugo Eckener著 "Im Luftschiff über Länder und Meere"(続き)

南米航路(14)

しかし、我々はすでにハッテラス岬で非常に荒れ狂った驟雨前線を克服し、ニューファンドランド上空でも損傷もなく乗り切ったので確信を持って臨むことが出来た。

そして、幸運であった。6月28日の夕刻リオを飛び立ち、翌朝 フロリアノポリス沖で大規模な驟雨前線に出遭った。それはとても恐ろしげに見えた。後で聞いたところによると、ブエノスアイレスでは前日、非常に激しいパンペロが荒れ狂ったそうである。

海面は白い波頭が立ち、暴風の雲の壁がピッチのように真っ黒く垂れ下がり、芸術家の目から見ると素晴らしい眺めであったかも知れないが、航行する側から見ると嬉しくはなかった。海上に出た方が良さそうに思えてしばらく海上に出いた。予想通りであった。

通常のピッチングとローリングで何とかそれを突破することが出来たが、それほどひどくはなかった。雲のもう一方では、時速56~67マイルの南西の疾風に突入し、海面上で帆を裂かれて漂わずに済んだことを喜んだ。

1時間後、嵐は時速27~34マイルに低減し、ポルト・アレグレ、リオ・グランデ・ド・スル、モンテヴィデオ上空で快適に飛行し、真夜中に到着した。

こうして、日本の台風、ニューファンドランドや合衆国の海岸で吹く激しい風の変化、アルプスの大量の雹、ブラジル南部沖のパンペロなどの天候や、それをもたらす隠された仕掛けを学び、そのそれぞれを克服したのである。

我々の情報収集で欠けたものがあるとすれば、それはカリブ海のハリケーンであった。

しかし、それに遭おうとは思わなかった。そして、その必要もなかった。それは容易に回避することが出来た。その中心と経路が非常に狭いからである。それにもかかわらず、竜巻のように その中心に信じられないような破壊力を持っている。

ラプラタ河の河口で夜間航行の終わりの時を過ごし、午前6時にブエノスアイレスに近づいて、住民の目覚めを促した。

しかし 驚いたことに、この時間 頭を枕に埋めて眠っている筈の人達が起きて準備していたのである。

午前8時に大勢の人が集まり、銀色の飛行船を 嵐のような歓迎で待ち受けるなか、カンポ・マヨに着陸した。

念にためにつけ加えておくと、リオの先で再びパンペロに追いつき、サントスの南へと進んだ。力は幾らか衰えてはいたが、おかげでペルナンブコまで記録的な時間で帰投することが出来た。

北極飛行(1)

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