LZ127Profile

ツェッペリンに捧げた我が生涯

Sammt

Wie es zu diesem Buch kam

この本の成り立ち


ボーデン湖畔のフリードリッヒスハーフェンでは、自分達を誇らしげに「ツェッペリナー」と呼ぶ かつてのツェッペエリン飛行船製造の従業員たちが、尊敬するフェルディナンド・ツェッペリン伯爵の誕生日に、現在も毎年集まっている。

そうした会合のある時、私はアルバート・ザムト船長と知り合った。彼の語る活き活きとした話と出会う人々に対する謙虚で親切な物腰に魅了されて、私は彼の招待を喜んで受け入れその住まいを訪ねてゆっくりと話を聞くことが出来た。

自らの思い出を書き残すように自分の子供たちから強く勧められたことを、彼はコーヒーを飲みながら私に打ち明けた。

しかし自分には本を執筆するだけの「辛抱強さ」がなく、おまけに専門家やそうでない人が書いた飛行船航行についての本が既に沢山出回っているという理由から、思い出を子や孫や甥達のためにテープに録音したと彼は語った。

ザムト船長は我々の希望に応えて、私の友人である教授のペーター・クラインハインス博士と私にそのテープを聞かせてくれた。またしても私は彼の話に夢中になった。

アルバート・ザムト氏は最後のツェッペリン飛行船LZ130グラーフ・ツェッペリンⅡの指令を務め、30年にわたり250万km以上を飛行船で航行し、その一部の飛行で船長を務めた。

その前は気球技師(セールメーカー)を担当し、特に外被とガス嚢の分野で飛行船の技術的発展に少なからず寄与している。

飛行船航行史に大きく取りあげられた殆どすべての飛行に乗務した彼は、当時 新聞で大きく取りあげられた重要な出来事だけでなく、小さな出来事についても感銘を与えるほど活き活きと描写している。

ザムト船長が、飛行船航行史の章についても報告する術を心得ていたことは、我々にとって注目に値する。その中にはオーソドックスなツェッペリン文献には殆ど記述されていない、LZ120ボーデンゼーやLZ130グラーフ・ツェッペリンⅡの飛行なども含まれている。

気球乗り仲間のパウル・ヴィーダー氏の紹介で私は、現在70歳のエルンスト・ブロイニング博士と知り合った。

ブロイニング博士は、最後のツェッペリン飛行船が高々度でフランス、イギリス、東欧の超短波無線を探知する飛行に従事していた。また彼は、それ以来 公にされてこなかった極めて興味深い知識をこの本のために自ら公開する意向を示してくれた。

自ずと以下のような疑問がわく。即ち、おそらく一度限りの回想に、どうすれば より広い一般読者にとって親しみやすいものになるかという疑問である。特に、飛行船の時代を生きていない若者達のことをザムト船長は気にかけた。

最終的に、我々はこの思い出を一冊の本にして出版することとし、ヴァールヴィーズにあるペスタロッチ子供の家の出版部から発行することにした。収益は子供の村に届けられることになっている。

このことは、LZ127グラーフ・ツェッペリンの有名な世界一周飛行50周年記念の年である1979年、子供の年に決定された。私の友人であるペーター・クラインハインスは、文章の改訂/編纂を担当すると公表した。

できるだけ多くその時代の雰囲気を伝えるために、今日90歳の船長としての、そして人間としてのアルバート・ザムト船長の愛すべき人柄を出来るだけ正確に表現するためには、語り手の特徴が含まれていることが重要であると思われた。

書かれたテキストとして修正することは容易ではなかったが、試みがうまく成功したことを願うものである。我々は語り手の声が読み手に判るようにすることを重視したが、録音テープを添付することによって対応することが出来た。

飛行船航行に関する興味あるデータは意識して削除した。しかしながら、若い読者に飛行船の航行に関連する技術を明示するために、技術的な事項に関する説明を付録に添付した。その際、ツェッペリン飛行船と同じ時期に他の場所で飛行船航行の領域でどのような進展があったのかを示すことも重要であると考えた。

挿絵の選択に当たっては、これまで未公表のものやあまり知られていないもので、本文の理解に役立つものを採用した。

この本の出版に当たって、最初にアルバート・ザムト船長とエルンスト・ブロイニング氏、私の友人で教授のペーター・クラインハインス博士、ヴァールヴィーズのペスタロッチ子供の家のヘルマン-ヨハネス・シェーア氏、パウル・ヴィーダー氏、並びにこの本の刊行を支援してくれ、子供の家の活動に貢献したロルクのヘルマン-ヴァルター・ジーガー氏の各位に心から感謝する次第である。

さらにフリードリッヒスハーフェンのツェッペリン金属工業有限会社の経営者ヴィリー・カルデンバッハ氏およびマンフレッド・ザウター技師にはツェッペリン飛行船製造社の飛行船関連の素晴らしい記録文書の閲覧に助言を戴いたことに感謝する。

1980年10月1日
ヴォルフガング・フォン・ツェッペリン

(改訂にあたって)

この本が我々の敬愛する友人、アルバート・ザムト氏の亡くなる少し前に刊行できたことは幸運であった。この本は偉大な友人である高齢のアルバート・ザムト氏のために出版された。高齢のアルバート・ザムト氏は、この本の出版に大変喜んだ。この本が専門家や飛行船愛好家によって評価され高い関心を呼んだために、アルバート・ザムト氏の生誕百年を記念して再版された。

1989年1月
ヴォルフガング・フォン・ツェッペリン

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