運転ゴンドラは乗客区画と一体になって、LZ120、LZ126のように主船体前方下部に組み付けられている
このゴンドラの後端はステーション170で、運転室はステーション195より前方に2.5~3m張り出しており、正面から左右舷の腰から上は大きな風防窓になっている。ステーション195が運転室の後端で、その後は左舷側にチャートテーブルのある航海室で、右舷側にはソファーが設けられ両舷に大きな窓がある。航海室の後壁、チャートテーブルの後には主船体内部のキール通路に上がるための垂直梯子があり、乗務員は乗客区画を通らずに船体後部にアクセス出来るようになっていた。
航海室の後端には船体中央にドアがあり、その後は幅1m弱の中央廊下である。中央廊下の左舷側は無線室で、右舷側は電気式厨房が設けられていた。
厨房の後は舷門から通路になっているので、長さ約2.5m、幅約2mの厨房は1m足らず航海室の右舷部分にせり出していた。
舷門から中央廊下までの短い通路は広くないのでスーツケースのような大きな物を持ち込むのは難しかったであろうが、乗客は20kg以下の手荷物しか持ち込めなかったのである。
その通路左壁の位置がステーション190で、中央のドアを開けるとダイニング兼用のラウンジになっていた。ステーション185との間、4つの窓のある舷側から舷側までの乗客用ラウンジにはカーテンと同じデザインの壁紙が貼られていた。食事時には4つのテーブルで指定の席についていたようであるが、20人全員が同時に食事を取るにはちょっと窮屈だったかも知れない。
部屋の中央には2本の柱が立っていたが、これはゴンドラを主船体で支持するために必要なもので化粧板で装飾されていた。乗船客区画にはここ以外に寝室兼用の狭いキャビンと洗面所・トイレくらいしかなく、乗船客はここから下界を眺めていたのであろう。
窓は開閉可能であり、船内でここだけに申し訳程度の暖房が施されていた。
後壁中央のドアを開けると両側に上下ツインのキャビンが5室づつ並び、その後部には左右に紳士/淑女用洗面室があり、更にその後部のドアの後は僅かにステップが付いており同じく左右にトイレがある。
トイレの後にはロッカースペースがあるがトイレの個室より狭い。このあたりは主ゴンドラの後部外形が主船体に沿わせるように削られてきており、それにあわせて内部ではステップが続いている。
その後方にもドアがあり、乗務員の洗面室になっている。乗務員は乗客区画を通行しないのでこの洗面室からキール通路に上がる階段がある。その後がステーション170である。
両舷10室のキャビンにはそれぞれ窓とカーテンが設けられている。
各キャビンにはクローゼット、小さな造り付けのテーブル、それにストゥールがあった。後の「LZ129:ヒンデンブルク」には各室に水と湯の出る流しがあったが「LZ127」ではまだ付いていなかった。
エッケナー博士と設計主任のデューア博士は「LZ127」を、飛行船の安全性と快適さをPRする航洋旅客飛行船のプロトタイプと位置付けていたので10室のツインキャビンとメニューによるダイニングサービス、それに独仏銘柄のワインを揃えたワインリストは如何にしても準備する必要があったのである。
乗客がダイニングでワインを楽しみながら食事をしている間に、ボーイが各キャビンのソファーの背もたれを起こしてシーツを掛け、2段ベッドにしてまわったのである。
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