東京 - 太平洋 - サンフランシスコ - ロサンゼルス:9653キロメートル:79時間54分
ロサンゼルス - エル・パソ - レークハースト:4737キロメートル:51時間13分
東京への到着に関しては、もはや断片的にしか覚えていない。
そこには間口の広い天蓋に覆われた通路のある駅があり、2~3千人の日本人がいた。
我々は、暗く灯りの輝く通りを抜けた。路面電車の停留所では人々がしゃがんで電車を待っていた。
狂ったアメリカ人の建てた日本のホテル、帝国ホテルの前に来た。
ホテルの前には旗が掲げられており、ホテルには「ようこそ!」と書かれた横断幕がかかっていた。
すでに夜の11時になっていた。私は(無線でない)ケーブル経由で長い電報を発信しなければならなかった。
日本人従業員が私の部屋を開け、私ははじめて深々とした丁寧なお辞儀を受けた。
寝台には蚊帳が張ってあった。小さな電気扇風機が静かな音を立てていた。夢のなかで私のまわりをぐるぐると世界が回っていた。
寝台の足元では池の水がパシャパシャ音を立て、上から下りてきた郵嚢から外を覗いているメヒアス博士がおり、ブロンドの頬髭をいつもきれいに剃っていたフレミング船長が指を立てて「節水」と叫んでいた。
既に着陸地で両手を広げて私を迎えてくれた、フリーで有能な東京の組合の代理人、エルンスト・バエヴァルトが訪ねてきて、私に防暑ヘルメットを渡してくれた。
寝台の縁に小柄な日本女性が座っていて、箸を使って食事を摂る方法を教えてくれた。次の朝までにそれを習得していなかったら、朝食は抜きだったであろう。
その夜はとても蒸し暑かったので、ほとばしるような汗をかいた。私は寝ぼけて浴槽で転げた。