LZ127Profile

「グラーフ・ツェッペリン」で世界周航

LZ127Bruecke_1

第一区間

星座と気象通報

その夜、私はあまり眠れなかった。私は仄かに光る、動く小さな電球のみが灯された暗い操縦ゴンドラに座った。その明かりは揺れながら、地図と天気図を照らしていた。私は幅広い黄色の木製ベンチに座っていた。その傍には常に開いたままの窓があり、そこから飛行船の先端からこちらに強い隙間風が絶えず吹き込んでいた。士官たちは黙々と仕事をしていた。

彼らは六分儀で、星座から飛行船の位置を確認し、手がやっと入る小さく狭い窓から無線で気象通報を受け取っていた。2時に、ハンブルク海洋気象台の気象学者ザイルコフ博士を呼ぶよう指示された。すでに、その夜3回目であった。

彼は、いつものように元気よく関心深げに出てきた。その大きな眼鏡は天気図の上に斜めに掛かっていた。彼は、レーマンとフレミングが覗き込んでいるところで、電報の通りに意味ありげに印をつけた。彼は少し私の傍に座り、我々は夜闇のなかで、黄緑色の月が地平線の上に掛かっているのを見ていた。その光が水面に映っていた。

刺すように澄んだ冷たい空気のなかに光る星。我々は言葉を失っていた。レーマンとフレミングは、ゴンドラの先端部分に続くドアの向こうに姿を消した。ゴンドラは、我々が座っていた「ブリッジ」と呼ばれる空間に光を通さないように夜間は締め切られていた。ザイルコフ博士は私に握手し、服を着たままもう少し横になるために自分の船室に入っていった。彼は、新しい報告が来たら持ってくるように頼んでいた。そこでレーマン船長はドアの隙間から手を振り、私はそのあいだをすり抜けた。

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