「グラーフ・ツェッペリン」で世界周航
第一区間
スナップショットは難しい
夕食時に、飛行船は明るく輝き、我々はすべてを忘れた。
いま何処にいるのか、世界周航を行っていることも、ロシアに向かっていることも・・。
我々は船上で座り、食べ、飲み、談笑しながら飛行船全体に滝のように浴びせられるプロペラの轟音に曝されていた。
メヒアス博士はスペインについて語り、フランス人は習ったばかりのドイツ語を繰り返し、登山家のようなチロル風ズボンをはき、その格好によく似合う声とお決まりの純真さを持ち合わせた優秀な写真家フォン・ペルクハマー氏は、既に98枚もの葉書に着手していた。
そのほかに、更に202枚を書かなければならなかった。彼は、撮影するものがないときは、昼も夜も引き続き仕事をしていた。
だが、私にも彼のようにとても優れた写真が撮れたら良いと思った。
私は激しくシャッターを切り、素晴らしいモチーフが現れたとき、その最初の30秒ほどのあいだに光量を調整し、何秒必要か、どのように構えるかを考えなくてはならない。そうしているうちにツェッペリンは、もう2キロメートルも先に行っていた。
それでも、何枚か使えそうなものが撮れたのは、我々の飛行に対する天意と、コンパクトで優秀なカメラのおかげであった。
目次に戻る
トップページに戻る