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「グラーフ・ツェッペリン」で世界周航

Kamui_1

第一区間

日本上空

北海道に来た。次第に視界がはっきりしてきた。我々は海岸線に沿って、ほぼ50キロメートルも白い砂浜、岸に寄せる大きな波を見下ろしながらさらに航行した。
私は日本家屋を初めて見た。そして双眼鏡を通して初めて見る日本人に挨拶をした。彼は白く短いズボンを穿いていて、上半身は裸の上に白い上着をはおり、広い縁のついた先のとがった麦わら帽を被っていた。
どの家屋敷も、こぢんまりとした清潔な造りで敷地に建っていた。どの母屋も2、3株の樹木に囲まれ、所有地のまわりには低い生け垣があった。
その外側は深緑の玉蜀黍畑に取り囲まれていた。すべては庭園のように仕切られており、見たこともないほぼきれいで、ままごとのようで面白い。明るい靱皮製マット、日除けがこちらに光って見える。

敷地に続く敷地。大きな島、庭は何千もの部分、何十万もの畝に分かれていた。稲田に張られた水の中で、腰をかがめて働いている人が見えた。この美しい地域の輝きが我々の飛行船に跳ね返ってきたら、我々は声をあげて「アー」とか「オー」とか子供のように叫ぶに違いない。
東京が近づいてくるにつれ、例えようのない緊張がやってきた。
まさに「グラーフ・ツェッペリン」は、最初の目的地に向けて邁進した。

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